肉厚土鍋で”温泉卵”を作ってみた
『土鍋ラボ』は、土鍋の特徴を生かした調理方法やみなさまからいただくご質問などを掘り下げてご紹介するコーナーです。
伊賀土鍋はゆっくり温まり、一度熱を蓄えるとなかなか冷めないという特徴があります。肉厚の土鍋であるほどその特徴が顕著に表れます。
今回はこの肉厚土鍋の余熱力を生かして温泉卵を作ってみました。トロトロの温泉卵の作り方、ぜひご参考にしてください。
【温泉卵】
<使用土鍋>
容量1500mlの肉厚土鍋(今回はかまどさん3合炊きを使用しました)
<用意するもの>
・卵(Mサイズ)…3~4個
・水…1000ml+500ml
<作り方>
①土鍋に1000mlの水を入れ、ふたをして沸騰させる。(温度:約100℃)
②沸騰したら火を止めて500mlの水を加えよく混ぜ、卵(冷蔵庫から取り出してすぐのものを使用)をそっと入れる。
③ふたをして5分 余熱で置いた後(この時の温度:78~82℃)、ふたを開けてそのまま10分余熱調理する。(15分後の温度:68℃)
⑤卵を取り出し1~2分水に浸けて出来上がり。
*卵の種類や大きさ、温度によって出来上がりに多少の違いが出ます。
<ポイント>
・卵は常温に戻さず、冷蔵庫から取り出してすぐのものを使用する。
・水と卵を加えた後、最初はふたをしたまま余熱調理し、途中でふたを取りゆるやかに温度を下げる。
<比較実験>
■ふたをしたまま余熱調理した場合
肉厚土鍋で沸騰後水と卵を入れ(この時の温度:75~77℃)、ふたをした状態で15分余熱調理(15分後の温度:76℃)。
⇒黄味が固まり、白身も凝固してしまった。
⇒ふたをした状態だと火を止めた後でも少し温度が上がり、76~80℃の温度帯を保持するため、温泉卵を作るには温度が高く、4回中3回失敗。改めて肉厚土鍋の余熱力の高さを実感。
■肉厚土鍋を金属の鍋に変えた場合
金属の鍋で沸騰後水と卵を入れ(この時の温度:70~72℃)、15分余熱調理(15分後の温度:54~56℃)。
⇒黄味も白身も固まらなかった。
⇒金属の鍋はすぐに温度が下がるため、違う方法でないと温泉卵は作れない。
■金属の鍋で、水を足さなかった場合
金属の鍋で水を沸騰させ(この時の温度:約100℃)、火を止め卵を入れて鍋のまま15分余熱調理(15分後の温度:54~56℃)。
⇒白身はゆるゆるの良い感じだが、黄味が固まらなかった(ゆるゆるがお好みでしたらこれはこれで美味。ただ温泉卵と呼ぶには少々黄味がゆるい)。
■かまどさん以外の肉厚土鍋の場合
「みそ汁鍋 大」や「多用土鍋」でも同じように作ることができました。
<考察>
黄味の部分が半熟で、白身の部分が半凝固状態の温泉卵を作るには、70℃前後の温度を保つことが重要。肉厚土鍋で余熱調理すると、適温の範囲でゆるやかに温度が下がるため、温泉卵が失敗なく作れるということがわかりました。
3回同じ条件で作り、3回とも少しずつ出来上がりの違いはありましたが、安定して上手に温泉卵が作れました。ぜひみなさまもお試しください。